情シス担当の備忘録

VBA・労働法とか。

【創作】何故弊社ではデジタル技術を活用した業務改善が起こらないのか

各位

いつもお世話になっております。
管理部 情報システムグループ DX推進担当のスズキです。

標題のことについて以下のとおり3点にまとめましたので報告します。
ご査収ください。

①業務改善を行う社員にメリットがない

3点にまとめたと書きましたが、とにかくこれに尽きます。
メリットとは何かというと、具体的には金銭と人間関係と仕事量です。

(1)金銭

 業務改善を行って生産性が向上したとしても、改善を行った社員には何の見返りもありません。まぁ、昇給が少し良くなるかもしれませんが、それだけであり、業務改善を行う労力や能力に見合ったものではありません。もっとも、業務改善の功績を管理職が正しく評価できるとも限りません。加えて、業務改善を行うことで残業が減ります。または残業をしにくい空気になります。すると、残業代が減ります。直接的に給料が減る行為をできる人もいればできない人もいるでしょう。ちなみに私も、もし子供ができたら業務改善しなくなるでしょうね。理由は次の2点です。
 1.子育てにお金使いたいので、給料減ったら困る。
 2.業務改善しなくても時短を使えば帰れるので、やる必要がない。

(2)人間関係

 業務改善は職場の人間関係を破壊する危険性があります。なぜなら、現行の業務プロセスを変更する行為を「私がこれまで一生懸命行ってきた仕事を否定する行為」と捉える人がいるからです。私見ですが、高齢の社員や一つの業務に長年取り組んできた社員にこの傾向が見られます。長年取り組んだ業務プロセスには愛着が湧きますから、仕方のないことだと思います。恐ろしいのが、例え業務改善が上手くいったとしても改善をした人間を恨む人間がいることです。愛着がある仕事を変えられてしまうわけですし、(1)に記載のとおり給料も減りますしね。
 こんな危険性がある行為を積極的にできる人は少ないでしょう。

(3)仕事量

 業務改善を行おうとすると、まず一時的に業務量が増えます。なぜなら、通常業務をこなしながら業務改善も行わないといけないからです。もちろん、上司が有能だったり、周囲の社員が改善に協力的だったりすれば話は違います。通常業務の分担を変更して、改善を担当する社員の負担を軽くできれば良いでしょうが、たいていの場合そんなことはできません。なぜなら、有能な上司は居ないし、周囲は協力的じゃないし、そもそもどの部署もギリギリの人数で業務を回しているからです。通常業務だけでも辛いのに、周囲が協力的じゃない中で、追加の業務をできる社員、いますか?

 仮にこの時点でのハードルを乗り越えて業務改善を達成したとしましょう。すると、次はマニュアル作成や引継ぎ資料作成が待っています。なぜなら、業務プロセスが変更されている以上、それが誰にでもわかるようにしておかないといけないからです。(2)にも書きましたが、この時点でも周囲の社員が協力的とは限りません。ここまで一人で走り切れる社員、いますか?

②知識・能力がない

 社員も管理職も含めてですが、デジタル技術の知識がある社員が全然いません。一番の理由は、知識が無くても働ける環境だからだと思います。昔ながらの進め方で仕事が行われており、それを否定する人間がいません。何故ですかね?管理職は「とりあえず現場が回っていればヨシ!」と思っているのでしょうか。また社員は「とりあえず先輩から言われるとおりに作業して、給料が貰えればヨシ!」と思っているのでしょうか。

 加えて、デジタル技術の研修の仕組みが全然ありません。自分から勉強しろ、と管理職は思っているのかもしれません。ただ、上記①に記載をしたとおり、勉強して実践したってメリット無いんですから、誰も勉強しません。

 また、知識・能力がある人間を積極的に採用するような人事制度がありません。能力がある人間を(相対的に)高給で採用できれば集められるかもしれないですが。

③指示がない

 管理職から業務改善に関する指示がありません。なんとなく「できそうならやっておいて~。期待してるよ~。」程度の発言はありますが、明確な指示が個人にも部署全体にも出ません。管理職からの指示があれば、上記①ー(2)及び(3)の問題が軽減できます。つまり、人間関係及び業務量の問題です。

 人間関係も「部長の指示なんで」という葵の御紋があればやりやすくなるでしょう。怒りの矛先も改善を行う社員ではなく部長に行くはずです。業務量についても「部長の指示なんで」ということで係長が業務分担を見直すきっかになるでしょう(必ずやってくれるとは限りません)。

 では、なぜ管理職からの指示がないのでしょうか。忙しいから?知識が無いから?改善を軽視してるから?理由は聞いてないとわかりません。

☆まとめ

上記のことを踏まえると、現状では以下の特徴を全て持った人間がいないとデジタル技術を活用した業務改善が起きないことになります。

①上司の指示が無くても積極的に行動できる。
②会社が何も仕組みを作らなくても自分から実践レベルのIT知識・能力を獲得できる。
③金銭的な見返りが無くてもやり抜く力がある。
④積極的に残業代を減らすこともいとわない。
⑤職場の人間関係が壊れることを受け入れられる。あるいは、壊さずに改善をやり抜くコミュニケーション能力を持っている。
⑥業務改善だけでなく、付随業務(マニュアル作成等)を行う能力がある。
⑦通常業務は人並みにこなしたうえで、単純な上乗せ業務である業務改善をやり抜く。

居るか!そんな奴!
やってられませんわ!アホちゃうか!