情シス担当の備忘録

VBA・労働法とか。

【読書】リーダーの仮面――「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法

【読んだ本】
リーダーの仮面――「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法
【買ったきっかけ】
本屋で見かけたから
【読み終わった日】
2021/2/3
【印象に残った文章】
・会社は孤独を埋める場所ではありません
・「言い切ること」に慣れよう
・チームが成長するかどうか。それは、リーダーが感情的に寄り添うことを辞められるかどうかが鍵を握っている
・いつも隣で手取り足取りサポートできるわけでもないし、自分が先に辞めるかもしれない
【感想】
刺激の強い本だった。
この本は「リーダー」の本というより「組織論」の本だと感じた。


本の中では各職層ごとに「こうあるべき」という主張を感じた。
きっと、筆者にとって各職層の果たす役割の理想形があり、その中のリーダーについて書いている本なんだと思う。


本の内容は、同意できる部分もあるが、受け入れられない部分もあった。
特に印象的だったのは、会社は会社としての目的達成を行うだけの場所であり、人間関係を構築して寂しさを埋めるための場所では無いという主張だ。
筆者は、部下と飲みに行ったりもしないらしい。「社員は家族ではなく機能」とのこと。
言っていることわかる。しかし、みんなそこまで割り切って働けるのだろうか。


現在の私は、これと真逆の働き方をしている。職場では先輩とも後輩とも仲良くして、プライベートでも会ったりしている。
職場の人の好きなモノや誕生日等を覚えて、プレゼントを渡したりしている。人と仲良くするのが好きだからだ。
(先日読んだ「1兆ドルコーチ」のビル・キャンベル氏も同様のコミュニケーションを取っていたので、私はすっかり自分を肯定していた。)
しかし、本の中ではそのようなコミュニケーションは職場以外のコミュニティで行うべきだとしている。
仲良くしなくても、それぞれが与えられた役職(課長等)に応じた役割を発揮して必要なコミュニケーションを取ればいいからだ。
正論だけど…少し寂しい、なんてことを目の前で言ったら、論破されるだろうか。
それともこんなことを言う人は山ほどいるから、相手にもされないのだろうか。
(余談だが、そもそも筆者の考え方は都会的だなと思う。職場の人間とプライベートでは会わないという前提だからだ。
田舎では職場での上司が隣人だったりすると思うし、お互いの子供が同級生だったりして、プライベートでも接触が多いことがあると思う。)


本の内容で気に入っている部分もある。「ルールを明確にすること」だ。
例えば仕事をしていると「ルール化されて無いが誰かが行わなければならないこと仕事」がどうしても発生する。
このようなことは放っておくと「いい人」や「できる人」がやることになってしまい、そのような人に負担とストレスが集中することになる。
他にも、私の会社では「身だしなみのルール」があいまいだ。「他人を不快にさせない格好をする」というなんとなくのルールはあるが、革靴の人もいればスニーカーの人もいて、サンダルの人(!)までいる。
「どんな格好をしたら他人が不快に思うか」なんて人それぞれなんだから、こうなるに決まっている。私は革靴が好きだし、外部の人と会うことも多いので身だしなみとして革靴を履いている。
スニーカーを履いている後輩や、ボロボロの革靴を履いている後輩を見ると注意したくなるが、注意する根拠がないのでできないでいる
その後輩が「この程度の履物は他人を不快に思わせることは無い」と感じていたらそこまでである。「何を根拠に注意しているんですか?」と言われる可能性もある。
身だしなみのルールについては、早く何とかしたい。


最後に、本の終章に書いてあった文書が胸に残った。
「いつも隣で手取り足取りサポートできるわけでもないし、自分が先に辞めるかもしれない」ということだ。
この文章を読んで、私は少し反省した。
最近の私は、後輩たちの面倒を見るよりも自分の成長を優先していたように思ったからだ。後輩たちに何か相談をされたときも、相談をさっさと解決するために、「相談事項後輩が自分で解決できるためのヒント」というよりは「解決のための結論」を教えていたように思う。これでは後輩の成長に繋がらない。
私は今の会社を辞める予定はないが、人事異動があるかもしれないし、後輩たちが異動するかもしれない。
最近の私は、後輩たちが「自分で考える力」を育てるためのチャンスを奪っていたように思う。これからは、後輩たちが一人になったときに、ちゃんと自分で考えられるような接し方をしていこう。どのように接すればいいのかは、もちろん自分で考える。


さて、この本は全体的に良い本だった。新しい考え方に触れられた。
ただ、全面的に正しい(有用)とも思わないし、正しいと感じた部分も、鵜呑みにはしない。どんな本を読むときもそうだが、本を書いた人間と自分とでは過ごす環境が違うのだから、本の考え方と自分の考え方と自分の環境を考慮に入れて、最も良い働き方を模索していこうと思う。